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2012年5月16日 (水曜日)

吉村達也死去

吉村達也さんが他界されました。

 

ととろは、ある時期まで、この人の推理ものは全部買って読んでいました。

「推理の謎の新規性やそれを織り込むストーリーライン」と「人間ドラマ」のバランスがもっともうまい、と、ととろは評価しておりました。日本人の独自な性向(たとえば、英語コンプレックスとか)をねたにした作品も、うまい扱いです。

前書いたが、また書く。この人の、「時の森殺人事件」は、「最も長い本格推理小説」でして、これはほんとにおもしろいです。人間が多いですが、ちゃんと描き分けられていて、黒幕も、意外性がありました。ツインピークスのパロディにもなっています。丸太女の替わりに、ウェットティッシュ女が出てきたりします。

ところが、Nという作家が、「J(略)……」という、小説を書いて、世界最長の本格推理小説の冠は、こちらにうつってしまいました。

この小説は、まあおもしろいんですが、長さに辟易する、長さのために長くした、といったしょーもなさが鼻につくしろものです。よむことはすすめません。時間の無駄です。

 

 

で、吉村さんは、おそらく、このタイトルを奪回しようと、すげーながいのを書き始めていたんですが、未完でうやむやでおわったとおもわれます。

 

で、なんでよむのをやめたかというと、いつごろからか、急速にホラー系に路線がかわってしまって、ととろ的には、この人はもう追わなくていいか、という感じになっちゃいました。

 

 

もうちょっと書くと、ととろ的分析としては、有栖川やら、のりづきやらの、講談社ノベルス系の「新本格推理もの」のトレンドと、一方、やたら2時間ドラマになる、西村京太郎、赤川次郎、内田康夫を御三家とする、「マスセールス系」のトレンドがあるんですが、新本格の読者や作者からみると、吉村はマスセールス系にみられてしまい、マスセールス系の読者や作者からみると吉村は新本格系でしょ、とみられ、難しい立ち居地においやられてしまい、おもしろいわりには映像かもされないし、当人は、そのあたりが、内心ふまんだったかもしれません。

 

詰め将棋関係の本もあります。

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